「乱」に思う

BS2で、まあず~っと黒澤映画をやっていたのは知っていたが、たまたま「乱」を見た。途中から。
昔見たときは、いろんなアラが目に付いて、迫力の面でもちょっと物足りなかった想いが残った。
仲代の演技、ピーターの演技、油井の演技他、気になるところがあった。血糊も妙に朱色っぽかったり、合成部分の迫力が今一つだったり、いろんなところがチクチクと顕在した。
しかし、年月を経て再び見直すと、そんな小さなことはどうでもよくなった。
この人の人間ドラマの作り方がすごい。スケールが大きい。丁寧に作っていることがわかる。とにかく、職人みたいに丁寧だ。そして美しい。本物に近い緊迫した空気を感じることができる。これがすごい。
我々は、想像の中で、残虐なシーンを思い描くことができる。想像できる力を持てば映像で描かなくても十分楽しめる。
私が改めてこの映画を見て思ったのは、侍たちの格好良さだ。
特に三郎が先頭に立って浅瀬を渡るシーンは非常に美しい。
この映画には美しさ、上品さがある。映像美を追求することで、作品が熱を帯びてくる。
世界中の映画で武将たちを雄雄しく描いた作品は多いと思うが、黒澤の描く武将は美しい。
世界が黒澤映画に魅了されるのは、この緻密さと美しさ、そして大胆さだろうか。

もっと気楽に楽しめる映画も多々あるが、黒澤のような映画の存在は、映画は総合芸術としての歴史的な文化遺産としての側面も持つ。
そういう意味では、日本から黒澤作品が生まれたことは、本当にすばらしいことだ。
くだらん作品が多すぎるのでなおさら目立つ。
黒澤を継ぐような人物はまず出てこないだろう。アニメ界での宮崎くらいだろうか。それも、その後が出ない。
しかし、いつの日か、突然変異でこうした人物が出て来るだろう。黒澤は確かに日本から生まれ出たことは確かなんだから。
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by worsyu | 2008-12-24 16:51 | ひまネタ | Comments(0)
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