廣瀬武夫

坂の上の雲の第2部が始まる。1部の再放送が今週放映されていた。
大分とは縁のない話、というわけでもない。劇中に廣瀬武夫が出てくるからだ。原作ではあまり取り上げられなかったこの青年をことさら取り上げていることに、ちょっと疑問も感じないでもないが。

この廣瀬は、軍神1号となる。日露戦争で殉死することで英雄視されることになる。♪杉野はいずこ・・・という歌は80歳以上の方なら聞いたことのある唱歌である。
彼の実像はいったいどんなものだったのだろうか?写真を見るとなんだかお笑いのタレントに似ている気もするが、シベリア踏破の写真を見るとEXILEの誰かのようにも見えてきて、現代にいても不思議ではない不思議な印象も受ける。この写真は結構格好いいのだ。身長も176~180センチぐらいあったようで見映えもする。
廣瀬は竹田市岡藩士族の次男として生まれた。父親は、脱藩し、坂本龍馬たちとも面識があったようだ。龍馬から「これからは海軍の時代だ」と言われ、息子たちを海軍に入れさせたのかも知れない。
逸話やエピソードがいくつか残っているが、それらからは、豪放磊落でありながら、ユーモアがある、誠実な気質が伺える。
ロシアへ留学してからは、語学の才を磨き、原文でロシア文学を読んでいたという。日本で最初のロシア文学の研究をし、理解した人物でもあった。単なる軍人ではない。
武官という聞きなれない存在。そして、ロシア貴族の娘とのロマンス。実態は、廣瀬は恥ずかしがりやだったようで、おそらく、茶目っ気のある笑顔でごまかしていたのだろう。娘の方は、16歳~18歳の多感な思春期で、目の前に現われた存在感ある男性に驚き、憧れ、一目ぼれしたようなものだろう。

あのロシア貴族の宴会で背負いでロシア人を投げ飛ばしたという逸話は、痛快である。ここにロシアに柔道が伝わる契機になったと見ることもできる。
ドラマで廣瀬役を演じる藤本隆宏は北九州市出身ということで、多少は大分弁にも対応できているのかもしれない。元水泳のオリンピック選手という経歴もすごいが、劇団四季でミュージカルをやっていたというのもすごい。
演技の面では、まだまだだね。何よりもしゃべっている言葉が聞きづらい。方言指導が間違ってないか?まあ、プロデューサーがこの俳優を見つけてきたことを自慢したいのだろう。たしかに可能性は感じる、ね。ただ、引き付ける何かがないね。いい男だし、苦労しているし、努力家だし、経歴もすごい。でも、余裕がない。人間に余裕が無いから演技にも余裕がないのだ。

廣瀬を惜しむ声が大きかったから、軍神1号になったのだろう。その当時の純粋な思いは、太平洋戦争へと突き進んでいく中、そして戦後の評価とは違う。人間として評価されなくなった以上、廣瀬の実像はなかなか見出せなくなってしまった。

この頃の状況は、帝国主義と呼ばれているように、市場獲得競争を列強が武力や政治的な圧力を用いて取り合っている頃である。アメリカはまだ新興国として実力はあったが、まだヨーロッパ列強の影に隠れている。戦争の時代の幕開けである。それが時代の流れだったわけだ。

我々は間違ったのか、いや、必然だったと言うべきかもしれない。坂道を駆け上がって、その上にある雲は見えているか。駆け上がらなくてはならなかったのだ。そこに立たなければ見えない景色がある。希望があるかどうかはわからないが、上に行くしかないのだ。
それは今も変わらない。



ところで、竹田市の歴史資料館前に廣瀬の銅像ができたわけだが、どうも好きになれない。写真で見ただけだが。作者の辻畑さんには申し訳ないが。
個人的には、シベリア踏破の写真が大好きなので、それを元にして誰か作って欲しいものだ。
[PR]
by worsyu | 2010-12-04 12:27 | 地域ネタ | Comments(0)
<< ファン感に思う 指原クオリティ >>