吉武イズム

サッカーU-17のW杯を見ている。
若いっていいなあ。失敗しても許されるから。
予選ラウンドを見て、強い。こりゃ、決勝まで行けるかもと期待させる。

今回の代表チームの特徴は、吉武監督の戦術を効果的に発揮させるために、選手の選択から行われていたようだ。何と、メンバーの内、14名が170センチ以下というちびっ子チームになっている。
しかし、足元の技術と90分間を走りきるスタミナ、戦術を理解する頭脳と感覚で十分にカバーできている。
この年代で既に完成に近い状態まで熟成されている選手たちなのだ。従って、今後、プロに進んでどこまで伸びるかは微妙だと思うが・・・・

これは、勝ちに来ているチームだな、と直感した。

初戦のロシアに1-0。第2戦のベネズエラに3-1。第3戦のチュニジアには2-1で逆転勝ち。
初戦は見ていないが、ロシアはヨーロッパ首位で通過してきたチームで守備主体のチームだった。前半17分に瓜生がミドルシュートを決め。それをそのまま逃げ切った。
そして、第2戦のベネズエラは南米予選を2位で通過してきたチームだ。日本は短いパスをつなぎ、リズム良く、走りながら球を廻し、相手の陣形を崩して裏を取り、又、スルーを出し、サイドを崩し、効果的に点を取った。強い。ポゼッションであり、パスであり、ジョギングサッカー?である。
第3戦は、メンタルの強いチュニジアだった。親善試合では1-2で敗れている。しかも、今回は予選を2勝してきている。日本と予選首位を争っている相手なのだ。
日本とチュニジアは既に決勝ラウンド進出が決まっている。しかし、決勝ラウンドを有利に戦うためには首位突破の方が好ましい。引き分けか、勝てば首位となる試合だった。
吉武監督は、ここまで全選手を入れ替えて使うという芸当をやってのけた。GKも3人使った。
このチームでの主力はポイントゲッターであるFWの渡辺と攻撃を組み立てる核となる杉本だろう。特に、この杉本が素晴らしい。身体のバランスといい、パスセンス、キックの安定度、密集の中でドリブルで抜く技術、鹿島の小笠原に躍動感を足して、良い子になった感じだろうか。因みに、彼は鹿島に内定だそうだ・・・・162センチしかないので、どうなんでしょうねえ。でも、現時点ではU-17では世界トップクラスの選手だ。今大会のMVP候補でもある。
その杉本はベンチスタートとなった。試合開始から、何だか動きが硬い。パスがインターセプトされて逆襲される場面が多い。チュニジアは守備を固めてカウンターという徹底した戦い方をしてきた。日本のリズムはこの積極的な守備に崩され、ボールは支配してはいるが、逆に崩されているのは日本の方だった。ここを無理に突けば逆襲され失点するだろう。リズムが悪い。堪らず、選手交代。杉本を入れる。これで多少安定感が出たか。しかし、流れは変わらず。先取点はチュニジアだった。前半終了間際だった。バイタルエリアで横に振られミドルシュートが選手の間をすり抜け、ゴールに吸い込まれた。

その後も日本が有利に球を動かし、追い込んで行った。チュニジアの選手は次々に足が吊り始め、倒れこみ、選手交代をして行った。日本も坂井、水谷と守備、中盤の選手交代をした。
時間は刻々と過ぎ、80分を過ぎた。ここで日本が同点に追いつく。決めたのは、何と、後半開始から交代して入ってきた坂井大将(さかいだいすけ)。スルーで右サイドに出し、折り返した球を相手DFと競り合いながら、クリアした球に坂井の左足が当たり、ゴール。よくここまで上がってきたものだ。
これは、彼らが言うところの「ニューローテーションポリシー」なのだろうか。つまり、流れが悪くなったり、リズムを変えるために違うポジションに入れ替わるのだそうだ。
そして、決勝点はアディショナルタイム。これも確か坂井が左から折り返し、それを渡辺が合わせたものだった。
この試合のMVPは坂井だっただろう。

この試合に限らず、吉武監督は、教育者であるし、青年期の人間形成をサッカーにおいて実践している。今回の彼らの目標はベスト4以上である。それと同時に1試合につき、8つ以下のファウルを目指しているということに驚きと感銘を覚えずには居られない。

これは、「吉武イズム」と言っていいだろう。ファウルをしない。審判にクレームを付けない。紳士であリ続けることの難しさと素晴らしさ。平常心の中でプレイすることの重要性等々・・・・
まさに私の考える「魂のサッカー」に通じるものがある。

浦和の森脇と鹿島のダビのやりあいなんか見ていると、ため息が出てくる。
これもサッカー。弱い人間がやることだと思う。

大分の皆さんもよく考えて欲しい。楽しければそれでいい?盛り上がればそれでいい?

吉武さんのサッカーはある意味現在のサッカー文化への挑戦だろう。
「イズム」と付けさせてもらったのは、そういう意味がある。
アマチュアリズムだけでは片付けて欲しくない。

ベスト8では誰も耳を貸してくれなかった。
優勝しないと彼のサッカーは支持されないだろうし、世界を変えることにはならない。
負けた言い訳と捉えられるからだ。

日本がブラジルの真似をしたり、イギリス、イタリア、ドイツの真似をして、ここまで強くなった。しかし、そうした中から独自のスタイルを見出さないと世界の中で尊敬される存在とはならない。
強くならないと誰も耳を貸さない。

吉武氏はそれを挑戦しているのだ。

私は、それを大分トリニータで実現させたいのだ。見てみたい。
吉武さんに育てられた子どもたちが、その後、いろんなところで活躍していくだろう。これまでも活躍してきたはずだ。しかし本当にそれが実践されてきていたら、もっと違ったサッカーを我々は眼にしているはずだ。
「それはアマちゃんの戯言だ」で済まされているのではないか?

私は志向したいね。
吉武さんが目指しているものをトリニータで実現してみたいよね。大変だよ。毎日、話し合い、理解を深め、生活習慣から、考え方まで変えなければできない難事業だ。まるで仏教徒になる覚悟で望まないとできないことだ。でも、やる意義はある。夢だからだ。それが、日本サッカーの全てに関わる人たちの夢だからだ。

それにしても吉武さんも随分白いものが出てきたねえ。
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by worsyu | 2013-10-25 12:24 | サッカー | Comments(0)
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