ヨーロッパに吹いた日本賛美の風

日本が南アフリカに勝ちました。信じられないことが起きました。
ラグビーのワールドカップで日本が世界3位の南アフリカに勝ったのです。

私の戦前の予想は、多くのラグビー関係者と同様、負け試合。南アフリカに全力で当たるよりも、スコットランドに照準を合わせた方が確率が高いのではないか?という考えだった。というよりも、実力差からして、トライが取れるかどうか、取れても点差が30点以内で収まるかどうか、だった。

ところが、先制点は日本。しかも、トライも上げて接戦を展開。最終盤に掛けての試合のコントロールと戦術の選択で試合の勝ち負けが決まる展開に。

南アフリカは、ペナルテイキックを選択。消極策で、確実に3点を取って逃げ切りを図る。
一方、日本は、ペナルティキックの権利を得るも、同点に追いつくよりも、ロスタイム(-試合が止まったらそこで終わり)でのトライで逆転を狙う。

そこはペナルティだろう、と思った。円陣で話し合う選手に向かって私はそう思っていた。
リスクを背負って、ギャンブルか?しかし、ここは、チャレンジ。相手は一人少ない状況であれば、トライが取れるという計算があり、その決断に至ったのだろう。そして、ジャイアントキリングの醍醐味を我々は目にすることになる。

世界中というと語弊がある。主にラグビー人気があるヨーロッパ諸国及び英連邦であろう。
アイルランドのパブリックビューイング会場が興奮のるつぼと化し、日本以上の盛り上がりを見せる。
イギリス国内でも、これで日本のファンになるといった現象が出る。

不思議に思うかもしれないが、日本が支持される理由はいくつかある。

まず、ラグビーとはエスタブリッシュメントのスポーツであるということだ。あの荒々しいプレイが展開されているのに、紳士のスポーツというのは矛盾していると思われるだろうが、前回にもお話したように、上流階級のスポーツとして、国家を導く青年たちが好んでやっていたと言う歴史がある。

日本においても、皇族の名が付いたラグビー専用の競技場があるのは皆さんご存知の通り。

つまり、国家の威信を掛けて戦っているのである。それは重い。或る意味、戦争にも匹敵するくらいである。
だから、日露戦争で日本が大国ロシアに勝ったような興奮が今、ヨーロッパに起こっているのだ。

日本を応援するのは、南アフリカが人種隔離政策を長く取ってきた差別国家であることも多少あるのかもしれない。一段低く見ている感がある。オーストラリアは囚人の国であるし、ニュージーランドも同様である。そこにはエスタブリッシュメントとしての土壌形成はない。ただ、強いだけ。尊敬には値しない。
民族を越えて、宗教も越えて、勇者に対する尊敬は勝るというわけだ。欧米諸国は善悪を決めて応援するという習慣がある。

勝ち負けは重要である。しかし、いかに戦ったか、どういう戦い方をしたかで評価が違う。そこもラグビー特有の価値観である。その面でも日本は称賛に値する戦い方をしたのだ。

さて、日本の目標はベスト8に入ることだ。残念ながら2戦目のスコットランドには大敗した。これも戦術なのだろうか?という気すらする。(スコットランドに借りを作ったわけだ。このお返しは南アフリカに勝つことで返してもらうということだ。)
つまり、地の利を生かすということだ。もし、ここでスコットランドに勝ってしまうと、日本の人気は下がっただろう。強さを示すことはできても、愛されないだろう。もちろん、勝つことが一番だが、それに次ぐ重要なことは、日本の姿を示すことである。

本当に力が付けば、ブーイングされることになる。それを快感に感じるくらいに強くなれば、それほど嬉しいことはないのだが、さすがにそこまではいけない。イギリスのラグビーファンの中ではまだ好意的に見られている。脅威とは思われていない。もちろん、まさか優勝などできるなど思っていないし、ましてや、母国が敗れることなどもってのほかと思っている。
しかし、東洋の未開の国から文化国へと飛躍してきた日本が、西洋文化を取り入れ、頑張っている姿を見るのは微笑ましいといったところだろう。

敢えて、私は言いたい。確かにラグビーの文化は日本に根付いた。しかし、それは、日本の精神土壌に合っている部分があったからであって、全く違っていたらそこに根を張り、花を咲かせることは無かったであろう。
体力的に劣っていても、規律と努力と戦術を駆使して正確なプレイをすれば、世界に通じることを証明したのだ。

すべてのプレイに意図があれば、失敗しても次につながる。

トンガ、アメリカに勝つことで、必ず道は開ける。
ラグビーに奇跡は無い。それは、あらゆる条件を満たした場合に、相手に勝つことができるという意味である。








[PR]
by worsyu | 2015-09-25 11:35 | 時事ネタ | Comments(0)
<< 熊本戦と同じ パウリーニョ獲得!!! >>