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湯布院とプロヴァンス

木村尚三郎氏の「わが心の旅」がNHKで再放送されていた。翌日、新聞で同氏が亡くなったのを知る。追悼番組であったのだ。76歳。東京生まれ。東大名誉教授。歴史学者。フランス中世の研究で知られる。
同氏は、南フランスに中世の名残を残す城や町並みを歩いていく。30歳を過ぎて留学した地でもあり、懐かしさと中世に思いを馳せる場面が続く。緯度は北海道と同じでありながら、気温はそんなに寒くない。しかし、時折吹く山おろしの風は乾燥していて突き刺すように痛い。そして、日差しも違うという。空は青く、対象物の色がくっきりと分かれている。肌を突き刺すような光の矢を感じる。これはアメリカの西海岸でもそうなのだが、湿度が無いことは物がとてもきれいに見える。しかし、湿気がないから肌を傷める。印象派のセザンヌが愛した白い山が映ったが、太陽の光の矢を浴びて輪郭がキラキラ光っていた。いつかは行ってみたいなあ。

旅の途中、ある田舎町のレストランに立ち寄る。そこにフランスを代表するシェフがいるというのだ。シェフは最近、自分の著書が日本語に訳された、と言って自慢していた。日本では考えられないことだ。しかし、これがフランスなのだという。フランス人にとって、料理に対する尊厳の気持ちは、芸術の域にまで達しているということだ。最高の場所で作りたいからそこにいるのであって、食べたいのなら来ればよい。来るだけの価値がある。それがわからないのなら来なくて良い、都会で似たようなものを食べていれば良いというわけだ。

大分には湧き水が出ることで有名な場所がいっぱいある。湯布院、庄内、竹田、宇目・・・。しかし、そこに有名な料理人が店を出していると聞いたことはない。本当に美味しいものを食べたいのだったらそういう場所に食事処ができるはずなのに。日本の食文化はまだまだ低いと言わざるを得ない。ただし、湯布院は、可能性を感じる。まだまだなのだが。
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by worsyu | 2006-10-24 13:46 | ひまネタ | Comments(0)
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