虹を越えた野球

NHKの再放送で「80歳の決着~元兵士たちの日米野球」というのを見た。途中からだが・・

フロリダにある平均年齢80歳の野球チームの中の退役軍人が、かつて戦った敵と野球をしてみたい、という申し出から、日米のスーパーシニアによる親善試合がハワイで行われた。
日本側のチームには、大分の方が2名おり、番組で取り上げられていた。(この急造の日本チームは19名。後で知ったのだが、なぜか大分県人が6人もいる。)
津久見市在住の伊達氏は、戦後、西洋料理と呼ばれるものすら口にしないという徹底ぶり。アメリカ=敵国という意識が抜けず、静かに深く、心の底に沈ませている。しかし、その表情は穏やかで、かくしゃくとしている。しかも品がある。この人は津久見という土地(入り江)で野球だけに生きてきた人なんだなあ、と思った。
もう一人は大分市在住の久枝氏。こちらの方は、トラック島の生き残り。艦砲射撃やグラマンによる機銃掃射を浴びながら、周りの兵士らが飢えで死んでいく中、運よく生き長らえた人だ。この方は大分市でよく見る、明るく、楽天的で、人懐っこい、話好きなおじいさん。交流後、アメリカの友にプレゼントを贈り、英語で手紙を書く勉強を始めた。

津久見の伊達さんは、今も少年野球のコーチとして子供たちと楽しみながら野球を教えている。シートノックも大したものだ。子供とベースランニングする姿もほほえましい。練習後、子供たちの前で親善試合の報告をする。子供と対等の口調で話すのが、とても心の清らかさを現していた。野球ができることに対する感謝の気持ちがあるからだろう。

日米双方の元軍人たちは、皆、笑顔で、交流を深めた。胸のつかえが取れたように、今まで抱えてきた心の重い荷物を降ろしたような気持ちだったのだろう。

最後に、海を臨む小さな灯台から、数珠を持った久枝さんが亡き戦友に魂の報告をしている姿で終わる。うっすらと浮かぶ涙を通した日の光に「虹が見えた」と彼は語る。その虹とは、ハワイの親善試合終了後、スコール後に現れた虹を思って口に出た言葉だった。

確かに、野球は虹を越えたのだ、と私は思った。
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by worsyu | 2008-04-19 13:00 | ひまネタ | Comments(0)
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