柳亭市馬の落語を久しぶりにTVで見た。衛星放送なので、一般の人は見ていないだろう。
演目は、「七段目」と「大工調べ」であった。 去年の今頃にも、私は彼の落語を論評していたと思う。その時は「上手いのはめちゃくちゃ上手いのだが、何だかちょっと面白みに掛ける。艶が無い」みたいなことを言ったと思う。 しかし、今回、見て、聞いて、まるで違う。 一言で言うと格があるのだ。 「七段目」は、得意とする歌舞伎ものであるので上手さが光る。面白かった。結構長い話なのだが、最後までダレずに聞けた。 「大工調べ」は唸らせた。与太郎のアホさ加減と棟梁の気風の良さ。大家の意地汚いながらも貫禄も感じる微妙な風体と大岡越前守の裁き具合のきれいさを見事に演じ分ける。恐れ入りました。嫌味じゃないのがいいのだ。上品であるのだ。棟梁のべらんめえの啖呵に感激した。涙が出そうになる。美しさを感じるのだ。それを大分県出身の人が演じることが、とてもすごくて、うれしい。 この1年で随分器量が良くなった。落語協会の副会長に就任したそうだが、さもありなんと思う。 今や、兄弟子の小三治はおろか、当代落語界随一の噺家となった感がある。師匠の小さん以上の器もある。スケールの大きさを感じる。 私は、古今亭志ん朝を越える噺家はもう現れないと言ったが、今は、それに近い位置に居る。唯一、眼の肥えた客を呼べる噺家として柳亭市馬を推したいと思う。聞く価値のある噺家なのだよ。 独演会で大分に来ることも多い。幸せなことだ。この価値観を共有できる人が増えることを願う。 ■
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by worsyu
| 2014-01-06 18:24
| 芸能ネタ
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